月に吠えらんねえ(11)
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4.6 • 10件の評価
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- ¥720
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発行者による作品情報
萩原朔太郎作品から生まれた「朔くん」、北原白秋作品から生まれた「白さん」、室生犀星作品から生まれた「犀」など、詩人本人ではなく作品のイメージをキャラクター化。詩人たちが暮らす近代市□(シカク/詩歌句)街に住む詩人の朔くんは、本人は自覚なく□街の神として町を詩人の理想の土地として管理していたが、知らずにその神の力で詩壇の師匠の白さんに強く働きかけ、自分の男性・詩人としての理想を白さんに具現化してしまっていた。ある時、□街に出現した愛国心の一表出である「縊死体」は朔くんに取り憑くが、それは戦争を悔いるあまりに愛国心までも否定しようとする戦後の日本の総意識に対抗するためであった。縊死体に侵食され一体化した朔くんは変質した白さんと複雑に影響を与え合い、神としての力が白さんにも流れ込み、白さんは二体に分裂。ひとりは新しい神として□街を守り、ひとりは男性として女性化した朔くんと結ばれるが、縊死体、戦争翼賛文学までも愛国心として認める白さんが守る□街を責める「戦後の日本の総意識」の攻撃は激化する。朔くん、白さん、戦場巡りで戦争の悲惨さを経験させられた犀の選択とは。第20回文化庁メディア芸術祭マンガ部門・新人賞を受賞した近代詩歌俳句ファンタジー、ついに完結!
カスタマーレビュー
Fancuum
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この世で一番好きな本
本当に出会えてよかった本。この耽美的で倒錯的で、それでいて近代の日本人の戦争と詩の関係をこのような形で表せる作者を心から尊敬する。天才だと思う。表現からなにからなにまで。この本のおかげで詩に興味を持つきっかけになって、日本語の綺麗さ、そして近代詩の概要を知ることができた。同時に日本人として敗戦とともにある日本に住んでいると日頃から愛国心への妙な回避への違和感をこれ以上なく表している。何回でもこの先読み返すと思う。味わいがありすぎる。