東京ハイダウェイ
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4.0 • 2件の評価
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- ¥2,000
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発行者による作品情報
ようこそ、心休まる「隠れ家」へ。
東京・虎ノ門の企業に勤める桐人は、念願のマーケティング部に配属されるも、同期の直也と仕事の向き合い方で対立し、息苦しい日々を送っていた。
直也に「真面目な働き方」を馬鹿にされた日の昼休み、普段は無口な同僚の璃子が軽快に歩いているのを見かけた彼は、彼女の後ろ姿を追いかける。
辿り着いた先には、美しい星空が描かれたポスターがあり――「星空のキャッチボール」
桐人と直也の上司にあたるマネージャー職として、中途で採用された恵理子。
しかし、人事のトラブルに翻弄され続けた彼女は、ある日会社へ向かう途中の乗換駅で列車を降りることをやめ、出社せずにそのまま終着駅へと向かう。
駅を降りて当てもなく歩くこと数分、見知らぬとんがり屋根の建物を見つけ、ガラスの扉をくぐると――「森の箱舟」
……ほか、ホッと一息つきたいあなたに届ける、都会に生きる人々が抱える心の傷と再生を描いた6つの物語。
APPLE BOOKSのレビュー
東京の都心を舞台に、それぞれのスタイルで懸命に生きる人たちの日々を描く連作短編集。虎ノ門の企業に勤める会社員を中心に、彼らと関わりのある喫茶店の店長や、高校生を主人公にした6編を収録している。時は新型コロナウイルスの感染拡大が長引く2022年、コロナ前の日常とはほど遠いけれど、なんとなく自粛ムードもゆるみ始めた頃。変化していく毎日の中で、人々はそれぞれの悩みと向き合っている。同僚とのいざこざや親子関係のもつれ、忘れられない苦い思い出、うまくいかないワークライフバランス。思わず「あるある」とうなずいてしまうトラブルがリアルに描かれ、つまずき傷つきながらも、ほんの少しの勇気を持って毎日を変えようとする主人公たちを応援したくなる。コロナ禍で孤独に慣れつつあった人々の心が社会の変化に揺さぶられ、ざわつくさまも細やかに描かれ共感を誘う。そこには、誰もがそんなに器用に生きているわけではないから大丈夫、という作者の優しいメッセージを感じる。