東大と野球部と私――勝つために大切なことは何か
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- ¥1,700
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発行者による作品情報
なぜ「東大は強くなった」のか!? 東京大学野球部特別コーチとして2年にわたり指導した著者が、初めて綴る活動記録。「キャッチボールで大声を掛け合うのは意味がない」「ダウンスイングの打者は打ち取るのが楽」など、野球界の常識を覆す理論が目白押し! 「アウトローにまっすぐが決まればアウトが取れる。どこまでいってもそれがピッチャーの原点だ」――薫陶を受けた左腕・宮台康平投手が2016年春、東京六大学野球リーグ戦で3勝! 甲子園経験者も150キロの速球もいらない、“頭脳の野球”の指導理論と哲学を凝縮。野球指導者のみならず、あらゆるスポーツマンに役立つヒントが満載です。東大野球部OBで、NHK「ニュースウオッチ9」元キャスターの大越健介氏との特別対談も収録。
APPLE BOOKSのレビュー
実力不足に悩む東大野球部に特別コーチとして就任した桑田真澄が、2年に渡る改革の日々を綴ったエッセイ「東大と野球部と私――勝つために大切なことは何か」。著者は従来のスパルタ指導法や精神論に警鐘を鳴らしてきた。本書では現代の野球道に不可欠な要素を再定義しながら、自ら実践する “考える野球” を、練習やリーグ戦を回想しながら解説する。球速120km/h台でコントロールが苦手な投手、打てない上に守れない野手、そんな弱点の多いチームをスポーツ医学に基づき分析。無駄のないトレーニング方法や体調管理などを行い、チームを総合力で鍛え直すプロセスには、理論派として知られる著者の特性が表れている。一方で、プレイごとに準備・実行・反省する習慣をつけ、敗戦時でも小さな成功体験を発見し、選手たちにモチベーションを与え続ける精神面のケアなども紹介。ビジネスの世界でも参考になるノウハウが詰まっている。コーチ在任時には悲願の一勝は叶わなかったが、課題だった防御率の改善など一定の効果は証明されている。実用的な側面も魅力だが、選手たちの心の成長を描くドキュメントとしても秀逸な一冊。