東西ベルリン動物園大戦争
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- ¥2,400
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発行者による作品情報
冷戦時代、壁で分断されたベルリンにあった2つの動物園では、東西の威信をかけて競争が激化していた。ゾウや珍しい動物の数を競い合い、シュタージ(東の秘密警察)がお金を集めてメガネグマを買ったかと思えば、西のシュミットはパンダを入れるために画策する…。動物園はレジャー施設で、体制の象徴だった。いままで知られていなかった冷戦の歴史に迫るノンフィクション。
APPLE BOOKSのレビュー
第2次世界大戦後のドイツの世相について、動物園という視点からつづる異色のノンフィクション「東西ベルリン動物園大戦争」。動物園に関わり、自分や家族よりも動物を優先してしまう"動物園人"と呼ばれる人たちの活躍を中心に、ベルリンの壁崩壊までの歴史や政治の情勢が描かれる。多くの個性的な動物園人たちが登場する中、軸となるのは西側のベルリン動物園の園長クレースと東側のベルリン・ティアパルクの園長ダーテのベルリンの壁を境にした東西対決。権力や政治力を駆使しながら、希少価値のある動物を買い集めて、設備を拡大するなど対決は激化。2人の社会的地位や動物園に対する信念、人柄にも踏み込んでいく。過去から続く根の深い争いも解き明かされるなど、その物語は数奇さを増していく。動物好きの多いベルリン市民ゆえに、動物園の園長が社会的に注目されるという状況も興味深い。著者はドイツ各地で取材を重ね、多くの関係者へのインタビューや文献などの情報を収集。確かな史実を基にしながらも物語風の体裁をとっているため、臨場感のあるドキュメンタリーに仕上がっている。