東西南北殺人事件
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4.0 • 9件の評価
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発行者による作品情報
警視庁捜査一課の迷惑男・大貫警部がもたらした驚くべき連続殺人事件の情報。それは何の関連もない三つの事件なのだが、大貫によれば事件の起きたのは全て金曜日、被害者の名字が東・西・南……トーゼン次の金曜日に北某が殺される!? 鼻クソとばしフケとばし、ハタの迷惑かえりみず事件を混迷にみちびく愛すべきアンチ・ヒーロー大活躍の傑作集。
APPLE BOOKSのレビュー
はちゃめちゃな警部が活躍する人気シリーズの第1作。警視庁捜査一課の大貫警部は、事件関係者に横柄な取り調べを行い、部下にはパワーハラスメント、人使いも荒いトラブルメイカー。若い井上刑事は迷惑を被りながら、大貫の独断による犯人捜しに使われて右往左往する。今作には、作家が自宅で殺された「典型的殺人事件」、20年前の殺人事件を担当させられる「迷宮入り殺人事件」、大貫警部の名をかたった人物を捜す「本人殺人事件」、名前に東西南北のついた人が殺される「東西南北殺人事件」の4編を収録。現代の日本ではNGとなりそうな男尊女卑や世代独自の感覚、家族の在り方など、登場人物たちの思想や行動から執筆された昭和の時代の空気が感じられる。腹が立つほどふてぶてしい大貫警部と、上司を心の中でののしりながら一生懸命に事件にあたる井上刑事。2人の描写が明るいため、殺人事件ものとはいえ暗い雰囲気が感じられないのも人気の理由だろう。