檸檬
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3.8 • 1,973件の評価
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発行者による作品情報
1925(大正14)年に同人誌『青空』創刊号に発表された梶井基次郎の代表作。憂鬱な生活を送る「私」は、ある時、果物屋で一個の檸檬に出会う。その不可思議な美しさに魅了され、そこからインスパイアされた“空想”の世界が、色彩豊かな事物や心象と共に詩的に描かれる。梶井の亡くなる1年前に友人である三好達治らの奔走により武蔵野書院より刊行され、20篇余りの小品を残し31歳の若さで没した梶井にとって、これがの生涯で唯一の出版本となった。
APPLE BOOKSのレビュー
10代の頃、国語の教科書で習った人も多いと思われる、短いながらも深い余韻を残す傑作。「えたいの知れない不吉な塊」という有名な書き出しの独白から始まり、淡々としているようで起伏に富んだ構成。主人公の「私」が抱える塊とは、病気のことばかりではなく、すべての若者が抱える焦燥感や不安に通じる。かつて夢中になった景色が急に色あせて見える心理状態の中で、檸檬という一つの果実がインスピレーションを膨らませていく。最後にとった行動はあまりに幼稚で無意味だが、焦りと無邪気さをつなぐ檸檬という存在が、作品全体を爽やかな香りに包み込む。多感な時期の若者が抱える繊細な心情が、散文的に美しく描かれるが、実際に病に冒されていた著者自身も投影されている。友人らの手で出版されなければ日の目を見ることもなかった作品が、死後に再評価されて著者の代表作となり、100年以上を経ても名著とたたえられる事態は、著者の仕掛けた檸檬が強烈に弾けた結果といえるだろう。
カスタマーレビュー
なんか、素敵
暗闇に輝く果物屋がありありとイメージできた。檸檬を果物屋に探しに行きたい。
面白かった
歩いて見た景色を共有してもらった感覚がして面白かった。
20ページという長さも読みやすくてちょうどよかった。
心がスカッとする
主人公と一緒に、小説の終盤にスカッとした気持ちを味わうことができた。