



正欲(新潮文庫)
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3.9 • 236件の評価
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- ¥950
発行者による作品情報
自分が想像できる“多様性”だけ礼賛して、秩序整えた気になって、そりゃ気持ちいいよな――。息子が不登校になった検事・啓喜。初めての恋に気づく女子大生・八重子。ひとつの秘密を抱える契約社員・夏月。ある事故死をきっかけに、それぞれの人生が重なり始める。だがその繋がりは、“多様性を尊重する時代”にとって、ひどく不都合なものだった。読む前の自分には戻れない、気迫の長編小説。(解説・東畑開人)
APPLE BOOKSのレビュー
『桐島、部活やめるってよ』で鮮烈な作家デビューを果たした朝井リョウによる、作家生活10周年の記念作『正欲』。序盤から「多様性、という言葉が生んだもののーつに、おめでたさ、があると感じています」と挑発する。心の奥底深くから発せられたであろう誰かの独白は、読み進めるのをためらわせるほどの緊張感に満ちている。不登校児童を育てる検事の寺井、地方のショッピングモールで働く夏月、そして大学の学園祭実行委員の八重子。年齢も場所も職業も違う3人が、ある秘密を巡りつながってゆく。SNSで見かける「~とつながりたい」というポジティブなハッシュタグに、どんな裏のメッセージが隠されているのか。誰かの役に立ちたいという正義感は本当に正義なのか。読むと「多様性」「みんな違ってみんないい」といった肯定的な言葉の基準が揺らぐ。浅井自身も「明らかに大きなターニングポイント」と語る衝撃作は、2023年に実写映画化。
カスタマーレビュー
うーん
評価が難しい
すごい
これまで自分が感じてきたdiversityという言葉への違和感を、この本を通じて見直せた気がする。
少数派
多様性の時代とか言うけれど、一応性的には正常な自分から見ると、少数派の欲求などを理解する余裕がないように思われる。
理解しているふりをしている人が多いのではないかと思ってしまう。
普通の世界で展開される物語の方が、読んでいて面白いと感じる。問題提起としては現代的で、考えさせられる。
少数派の人々にも幸せが訪ればいいとは思う。