正義論 改訂版
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- ¥4,400
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発行者による作品情報
正義とはなにか――
ロック、ルソー、カントに代表される社会契約の伝統的理論を受け継ぎ、功利主義の「最大多数の最大幸福」に取って代わる、著書が構想した“公正としての正義”とは…
「政治哲学の巨人」ロールズの古典的名著。
「個人のかけがえなさと自由が認められること、社会が誰にとっても暮らしやすいものであること」
APPLE BOOKSのレビュー
正義とは何かを追求し、社会、政治に大きな変革をもたらしたジョン・ロールズの古典的名著。一時期流行したマイケル・サンデルの正義論の土台となった他、本書で社会正義の重要性を学んだ学者、政治家は少なくない。初版は1971年刊行だが、正義を定義付けようとするプロセスには多くの批判が寄せられた。しかしロールズは、批判と真摯(しんし)に向き合い論考のブラッシュアップを重ねてきた。こうして数々の修正が施された原書を翻訳し直し、日本向けに引用文献情報や人名検索を充実させ、2010年に刊行されたのが本書。日本でも、自己責任論などベンサムの功利主義的な考えが幅を利かせていた時期があるが、グローバリゼーションや価値観の多様性が高まる中、改めて正義を考え直す時代となっている。誰もが簡単に正義という言葉を口にする現代社会において、個人が豊かさを最終目的として求めることは正しいのか、宗教観や社会通念の違いがある相手を、一方の価値観のみで裁くことができるのか、といった諸問題に向き合う道しるべとなるだろう。大著だが、時間をかけて読む価値があり、人としての豊かさにつながる読書経験となり得る。