母の旅立ち
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- ¥1,800
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発行者による作品情報
「わたし、死なないから」えっ? いまなんて言った?ーー底抜けに明るいがトラブルメーカーの母に残された時間はあと1ヶ月。看取りのプロ医の次女による仕切りのもと、母を在宅で看取り、家族葬で送ることになった。母にいちばん迷惑をかけられながらも心優しき長女、気が強く明晰な次女、行動派の三女、作家である四女の「わたし」、そしてほぼ戦力外の父が一致団結。喧嘩したり、泣いたり、笑ったりした、「その日」を迎えるまでの20日間を描く実話。終わりよければすべてよし。死は人生最大の禊である。
APPLE BOOKSのレビュー
ステージ4の乳がんから脳転移という宣告を受けた著者の母を、4姉妹と父で看取(みと)り、家族葬で見送るまでをつづった実話エッセイ。底抜けにポジティブで明るいけれど、豪快でトラブルメーカーでもあった母。余命宣告を受けても「わたし、死なないから」という母の言葉が印象的な物語は、悲しみの涙よりも笑いやユーモアが多い異色の看取り記だ。距離があった母と向き合う四女の著者、えいこ。母の主治医であり「看取りのプロ」としてサポートする次女のようこ、一度離婚したけれども結局、母の元に戻った父。母の横で交わされるたわいもない会話の中で、家族が一丸となり母を温かく見送る様子は、誰もが避けて通れない「家族との別れ」にどのように向き合い、準備するかを今一度考えさせられる。大切な人の旅立ちを見守ることは、どんなに準備をしていても、不安や混乱が尽きない。著者は、自分のこの経験を誰かに役立ててもらいたいという気持ちで筆を執ったという。死がテーマだが、人が生きている温度や気配の温かさ、そして尊さが読者の胸に残る作品。