母の記憶に
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4.0 • 1件の評価
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- ¥2,200
発行者による作品情報
不治の病を宣告された母が愛する娘のために選び取った行動をつづる表題作、明治時代の満州にやってきた熊狩り探検隊一行の思いがけない運命を描いた「烏蘇里羆(ウスリーひぐま)」など、あたたかな幻想と鋭い知性の交錯を透徹な眼差しで描いた16篇を収録した、待望の第二短篇集
APPLE BOOKSのレビュー
代表作「紙の動物園」で史上初となる、SFファンタジーの三大賞と呼ばれるヒューゴー賞、ネビュラ賞、世界幻想文学大賞の三冠受賞を達成。機知に富んだ幻想的な世界観を得意とする作家、ケン・リュウによる短編集<母の記憶に>。人工知能が進化を遂げ人間が機械にアップロードされたり、超視覚や予知視能力をもった人物が登場したり。SF的な要素が散りばめられたユニークな世界設定や意外性のある物語の展開に惹きつけられる。表題作は、不治の病により余命2年の母親が、光速の宇宙船で旅をして時空を超えることで、娘の成長を見守り続けるストーリー。子に寄り添う穏やかな親の愛情や、幼いころから思春期を迎え年老いていくまで、ときを経て変わる母に対する娘の心情も細やかに描かれ、切なくも温かな気持ちにさせる。中国で育ち、アメリカで作家活動を続ける著者。欧米のみならず、日本&アジアを舞台にした作品も多く、歴史や文化、政治的背景など幅広い知識や問題意識によって、SFの枠にとどまらない多彩な作風も魅力。奇想天外な想像力で生み出された物語は、読者に新たな視点をもたらしてくれる。