水曜日のトリップランチ(1‪)‬

APPLE BOOKSのレビュー

美味しいごはんと恋の喜びを、みずみずしいタッチで描くたじまことの『水曜日のトリップランチ』。秘書課勤務のマジメな青年、岸田は毎週水曜12時から一風変わった任務を担っていた。それは、寝食を忘れて研究にのめり込む若き女性博士、十和（とわ）のランチを作ること。十和に密かな恋心を抱く岸田は、激務が続く彼女の身体を気遣いながらメニューを考え、一方の十和もそのごはんをもっと美味しく味わうために、自身が試作するVR環境を披露する。トロピカルなパンケーキは常夏のハワイで、熱々の肉まんはネオン輝く夜市で。恋に奥手な2人は楽しい時を重ねながら、少しずつ心の距離を縮めていく。岸田が十和のために考案するメニューは、身近な食材を使った手間のかからない、栄養たっぷりのごはん。心のこもった食事を通して、好きな人と食事を共にする意義深さと、さりげなくも奥深い人生の喜びを描く大人の恋物語。