



氷の致死量
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4.3 • 3件の評価
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- ¥2,000
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発行者による作品情報
5月公開白石和彌監督映画「死刑にいたる病」の原作者が放つ新たなるシリアルキラー・サスペンスの金字塔 聖ヨアキム学院中等部に赴任した教師の十和子は自分に似ていたという女性教師が14年前に何者かに殺された事件に興味をもつ。彼女は自分と同じアセクシャル(無性愛者)だったのかもしれないと……一方、街では生まれついての殺人鬼・八木沼がまた一人犠牲者を解体していた。二人の運命が交錯するとき、驚愕の真実が明かされる!
APPLE BOOKSのレビュー
無性愛者(アセクシャル)という性的指向に悩む女性中学教師と、理想の母を求めて殺人を繰り返すシリアルキラー。『死刑にいたる病』をはじめ、次々に作品が映像化される櫛木 理宇が2つの視点を交えて描く驚愕(きょうがく)のサイコサスペンス。鹿原十和子が聖ヨアキム学院中等部に赴任したのは、14年前に校内で殺された教師で、同僚が驚いてしまうほど自分とよく似ていた戸川更紗のことを知るためだった。更紗の論文を読んだ十和子は、自分と同じく誰にも性的魅力を感じないアセクシャルであると確信したのだ。一方、シリアルキラーである八木沼武史もまた14年前の更紗が忘れられなかった。そして彼の新たな犠牲者は、十和子が担任を務める生徒の母親だった…。シリアルキラーの陰惨な家庭環境、凄惨(せいさん)な犯行描写、過去の事件と現在の殺人をリンクさせながらひねりを効かせたプロットと、作者が得意とする要素がてんこ盛りだが、そこに一見普通に見える女性教師を支配する毒親、幼稚な夫との意識の違い、さらには性的マイノリティの問題など、さまざまな生きづらさ、社会で理解されない苦しみが描かれている。