津波の霊たち 3・11 死と生の物語
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1.0 • 1件の評価
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- ¥1,100
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発行者による作品情報
あの日から10年――。巨大災害が人々の心にもたらしたものとは? 2011年の東日本大震災における津波被災に焦点をあて、巨大災害が人々の心に与えたトラウマと余波に外国人ジャーナリストが迫る。
APPLE BOOKSのレビュー
日本をはじめアジアを中心に長きにわたり活動を続けるイギリス人ジャーナリスト、リチャード・ロイド・パリーの「津波の霊たち 3・11 死と生の物語」。東日本大震災の大津波に小学校がのみ込まれ、多くの犠牲者を出した出来事をテーマに、生き残った子ども、子を亡くした親、そして周囲の関係者から話を聞き、当時の詳細な状況に迫っていく。生々しい現場の様子と同時に語られるのは、悲劇の瞬間まで続いていた何げない日常。そこから浮かび上がる強烈なコントラストは、読者に強い印象を与える。本書を通じて見えてくるのは、死者に対しての向き合い方。津波直後からいかにして遺族などが震災と対峙してきたかを取材する中で、著者は現地の人々の多くが体験したという心霊現象に着目。恐山や遠野物語といった題材から、東北ならではの精神世界との関わり方を紹介しつつ、日本人特有の死生観を明らかにする。6年という長い時間をかけ、一歩踏み込んだ世界を描いた渾身のノンフィクション。