Publisher Description
富豪・有松武雄からの依頼の電話を受け、彼が病気静養している沼津の別荘へ駆けつけた女流探偵・桜井洋子だが、有松は既に何者かに刺殺されていた…。「今度私が脱獄した理由、それは決して自分自身のためにやったのではないのです。あの男のため、いや、ある男の頼みを果してやるためだったのです」。深夜、洋子の家に現れた義賊・尾越千造が話す、ある死刑囚の世にも気の毒な物語とは? 「あれッ、あなた! ひ、ひと殺し、ヒェッ、あなた助け――」。親友同士であることを利用した完全犯罪とその崩壊を描く。