源氏物語 ー 胡蝶
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この作品の作家は、紫式部(むらさきしきぶ、生没年不詳)は、平安時代中期の女性作家、歌人。『源氏物語』の作者と考えられている。『源氏物語 ー 胡蝶』は底本の「全訳源氏物語 中巻」では「小説. 物語」としてまとめられている。
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この章はなんとツッコミどころが多いことだろう。
毎日のように遊びをして暮らしている六条院の人たちは、女房たちも幸福であった。各夫人、姫君の間にも手紙の行きかいが多かった。と源氏の目論見通りついには皆が仲良しになっていく。源氏が「こんな手紙をよこす人たちに細心な注意を払ってね、分類をしてね、返事をすべき人には返事をさせなければいけない」とお月のものを指導するのが面白い。さらに「暴力で恋を遂げるというようなことも、必ずしも男の咎ばかりではない。それは私自身も体験したことで、あまりに冷淡だ、無情だ、恨めしいと、そんな気持ちが積もり積もって、無法をしてしまうのだ。またそれが身分の低い女であれば、失敬な態度だと思っては罪を犯すことにもなるのだ。たいしたことでなしに、花や蝶につけての返事はして、この程度の交際を持続させておくことも相手を熱心にさせる効果のあるものだからね。あるいはまたそれなりに双方で忘れてしまうことになっても少しもさしつかえのないことだ。けれどまた誠意のない出来心で手紙をよこしたような場合にすぐ返事を書いてやるのもよろしくない。あとで批難されても弁解のしようがない。全体女というものは、慎み深くしていずに、動いた感情をありのままに相手へ見せることをしては、結果は必ずよくないものだが、宮や大将が謙遜な態度をとって、いいかげんな一時的な恋をされる訳はないのだからね。いつも返事をせずに自尊心を持ち過ぎた女のように思わせるのも、この人にはふさわしくないことだからね。またそれ以下の人たちのことは、忍耐力の強さ、月日の長さ短さによって、それ相応に好意的な返事をするのだね」と言う源氏こそが色々経験したから言えることなのだろう。ついには変態的な理屈で玉鬘に迫る源氏。この章はなんとツッコミどころが多いことだろう。