



無限の住人(1)
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3.9 • 269件の評価
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- ¥800
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発行者による作品情報
父を殺し、母を攫(さら)った剣客集団『逸刀流(いっとうりゅう)』に復讐を誓う少女・浅野 凜(あさのりん)は、「百人斬り」の異名を持ち、己の身体に血仙蟲(けっせんちゅう)という虫を寄生させることで不死の肉体を持った剣士・万次(まんじ)を用心棒として雇い、逸刀流の統主である宿敵・天津影久(あのつかげひさ)を追う旅を始める――。
APPLE BOOKSのレビュー
沙村広明のデビュー作にして、第1回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞作品「無限の住人(1)」。自らの身体に血仙蟲(けっせんちゅう)を宿らせることで不死となった万次は、両親の仇討ちを誓う剣術道場の一人娘・凜と出会い、彼女と共に復讐の旅を続けていく。不死をテーマに扱う作品は数あれど、本作が描くのは痛みを感じないゾンビではない。戦うたび、文字通り死に匹敵する痛みを感じながら、それでも死ぬことのできない宿命を背負う、新しい死生観を持ったヒーローの姿に心を掴まれる。後に「おひっこし」や「波よ聞いてくれ」で発揮されたコメディーセンスも随所に散りばめられ、残酷な戦闘描写が多い中、物語の雰囲気を程よく和らげてくれる。また、時代や国境を超越した服装や武器の数々、それらを身につける個性あふれる剣客たちの姿は、既存の時代物にはない見所の一つ。マンガに新しい刺激を求める読者に、ぜひおすすめしたい作品。