



猫と罰
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5.0 • 3件の評価
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- ¥1,800
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- ¥1,800
発行者による作品情報
「猫に九生あり」という。かつて漱石と暮らした黒猫は、何度も生と死を繰り返し、ついに最後の命を授かった。過去世の悲惨な記憶から、孤独に生きる道を選んだ黒猫だったが、ある日、自称“魔女”が営む猫まみれの古書店「北斗堂」へ迷い込む。文豪の猫と創作の業が絡まり合う日本ファンタジーノベル大賞2024受賞作!
APPLE BOOKSのレビュー
不思議な古書店を舞台に、九つの命を持つ猫の物語を描く『猫と罰』。己(おれ)は黒猫で、9回目の生を生きている。今までで幸せだったのは3回目の生で、己を主人公に『吾輩は猫である』という物語を書き上げた作家と生きた日々だった。それ以外は人間というどうしようもないやつらに殺されたり、裏切られたりしたせいで、この9回目の最後の命は夢を見ず、孤独であることを選び、人間と関わらないように生きていた。しかし古書店「北斗堂」の魔女と呼ばれる女店主、エリカやそこに居座る猫たちと出会ってから、己の日々は少しずつ変わっていく。猫の視線でこの世界のさまざまな社会問題に切り込み、人間たちの愚かさや醜さを浮き彫りにしつつ、そこに見え隠れする彼らの孤独や葛藤を静かに見つめる。猫が話す世界、そして古書店の魔女がここを離れられない秘密など、ファンタジーの要素もありながら、さまざまな人々の生々しい生きざまを描いた人間ドラマを観ているような不思議な読書体験が味わえる。悟ったような顔でそこここに寝そべる猫たちは、もしかすると本当にこんなふうに人間を見ているのかもしれない…。