獨協式 子育てはうまくいかなくて当たり前‪!‬

目次


序章〜子育てに答えを求めない〜


第一章「みにくいあひるの子」から学ぶこと


第二章不登校から学ぶこと


第三章親はどうあるべきか


第四章コドモと本気で向き合おう


おわりにかえて〜背中を見せるのが子育て〜


序章〜子育てに答えを求めない〜


お子さんの子育てに

悩んでいる方は多いことでしょう。

我が子が思うように育ってくれないのは、

自分の育て方が良くないのではないだろうか

と自分を責めたり、どうしてできないのだ

と子どもを責めてしまったり…。

葛藤しながら、日々を過ごされていることと思います。


とくに男の子は、

女の子に比べると精神的に幼い面があり、

自分で段取りを決めて

効率良く物事を進めることが苦手です。

一度にいろいろなことに

注意を向けることも苦手です。

ですから、ダラダラ取り組んでいるように見えたり、

言われたことがすぐに飛んでしまったり、

忘れ物が多かったり、

そういうことになってしまいます。


正確に言うと、苦手なのではなく

「まだできない」のですが、

親、とくに母親にとっては、

それがなかなか理解できないのです。


とはいえ、

男女問わず成長の速い子どももいます。

そのような子と我が子とをつい比べてしまい、

できる子のようになってほしい

と願ってしまうこともあるでしょう。

しかし、子どもは一人ひとりが

まったく異なる存在であり、

その育ち方も千差万別です。

「良い子の育て方」

なんていうものはありませんし、

そもそも、どんな子が「良い子」なのかも、

一概には言えません。


私にも、息子が一人います。

今はもう大学生ですが、

幼い頃にいじめを経験し、

妻と二人、子育てに深く悩んだ時期もありました。

ですから、皆さんのお気持ちは痛いほどよくわかります。


子育てには正解はありません。

子育ては言わば、

答えのない問いを追究し続ける旅なのです。

ただ、正解はありませんが、

大切なことはあると思います。

そして、子育てにおいて何が大切なのかは、

親によって、

子によって、

夫婦によって、

家族によって、

異なります。

皆さんが子育てにおいて

大切にされていることは何でしょうか?

忙しい日々の中で、

つい忘れてしまっていないでしょうか?

少し立ち止まって、

振り返ってみませんか?


男子校の教員として、

そして、男の子の親として、

皆さんと一緒に頑張りたいという思いで、

筆を執りました。

本著が、お子さんを、

そして自分自身を

見つめ直すきっかけになれば幸いです。


《坂東広明プロフィール》


獨協中学・高等学校国語科教諭

1966(昭和41)年生まれ、高知県出身。

東京学芸大学大学院修士課程修了。

専門は近代文学。


中高時代に教わった先生の影響で、国語の教師を志す。

高校2年生のとき、寺山修司の追悼ラジオ番組の中で、

童話集『赤糸で縫いとじられた物語』を聴き、衝撃を受ける

(取り上げられることはあまり多くはないが、寺山のもつ抒情性が結晶した名作。

ぜひ多くの人に読んでもらいたい)

卒業論文・修士論文でも研究テーマに寺山修司を選んだ。


大学卒業後、獨協中学・高等学校に国語科教諭として着任。

以来、30年近くにわたって生徒の指導にあたる。

ときに兄のような身近で頼りがいある存在として、

ときに父のような厳しさと優しさを兼ね備えた存在として、

生徒からも保護者からも慕われ、信頼を得ている。


プライベートでは1児の父で、大学生になる息子がいる。

息子の不登校を家族で乗り越えた経験は、教師としての今に活きる。

座右の銘は


「意志あるところに道は開ける」


未来を切り開く強い意志を持った男子を育てたいと考え、

日々の教育活動に取り組んでいる。