現代訳論語
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発行者による作品情報
「現代訳論語」
下村湖人(しもむら こじん、1884(明治17)年〜1955(昭和30)年)の書いた、論語の現代語訳です。
論語の全499章を訳しました。
論語は、「子曰(しいわく)」でおなじみの、孔子やその弟子の言葉を記録した書物です。
孔子は今から2500年前、中国の春秋時代、紀元前6世紀頃の人で、四聖人の一人とされます。
礼儀を重んじる「礼」と、他人を思いやる「仁」を柱とする儒教を作りました。
論語は儒教の経典であり、朱子学における四書の一つです。
全20篇あり、約5百の短文・長文の章から成ります。
どの章も簡潔な記述で含蓄に富み、中国の歴史上、最もよく読まれた本とされます。
日本には仏教より早い5世紀頃伝わり、教養として広く読まれました。
江戸時代には朱子学が幕府によって採用され、武士を中心に盛んに学ばれました。
明治になってからも道徳や倫理の古典とされ、「日本資本主義の父」渋沢栄一は論語を人生の指針と述べています。
下村湖人は小説家、教育者で、代表作に児童小説・教養小説の名作「次郎物語」があります。
幼時より論語に親しみ、論語をモチーフとした短編集「論語物語」を出す一方、晩年、論語の全ての章を訳した「現代訳論語」を出しました。
この現代訳論語を電子書籍にしました。
逐語訳でなく、著者自身の言葉で分かりやすく説明されています。
ただし、論語の原文は載っていないので、別に用意ください。
作品は青空文庫の新字新仮名のものを用い、見出し等を調整しました。
収録したファイルはすべて、インターネットの図書館、青空文庫(https://www.aozora.gr.jp)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
心から感謝します。
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学而第一、一
先師がいわれた。──
「聖賢の道を学び、あらゆる機会に思索体験をつんで、それを自分の血肉とする。何と生き甲斐のある生活だろう。こうして道に精進しているうちには、求道の同志が自分のことを伝えきいて、はるばると訪ねて来てくれることもあるだろうが、そうなつたら、何と人生は楽しいことだろう。だが、むろん、名聞が大事なのではない。ひたすらに道を求める人なら、かりに自分の存在が全然社会に認められなくとも、それは少しも不安の種になることではない。そして、それほどに心が道そのものに落ちついてこそ、真に君子の名に値するのではあるまいか。」
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※
子曰、学而時習之、不亦説乎。有朋自遠方来、不亦楽乎。人不知而不慍、不亦君子乎。
子曰く、「学びて時に之を習ふ。亦説(よろこ)ばしからずや。朋有り 遠方より来たる、亦楽しからずや。人知らずして慍(うら)みず、亦君子ならずや。」
*目次*
├序文
├学而(がくじ)第一
├為政(いせい)第二
├八佾(はついつ)第三
├里仁(りじん)第四
├公冶長(こうやちょう)第五
├雍也(ようや)第六
├述而(じゅつじ)第七
├泰伯(たいはく)第八
├子罕(しかん)第九
├郷党(きょうとう)第十
├先進(せんしん)第十一
├顔淵(がんえん)第十二
├子路(しろ)第十三
├憲問(けんもん)第十四
├衛霊公(えいれいこう)第十五
├季氏(きし)第十六
├陽貨(ようか)第十七
├微子(びし)第十八
├子張(しちょう)第十九
├堯曰(ぎょうえつ)第二十
└底本などに関する情報