



環と周
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4.6 • 33件の評価
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- ¥720
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発行者による作品情報
家族、恋、友情……さまざまな関係性で綴られる“好きのかたち”。 ――現代編 中学生の一人娘が同級生の女の子とキスをしているのを目撃して動揺する妻。実は夫にも、かつて同級生の男の子を好きになったことがあった。 ――明治時代編 大切な“お友達”になった女学生の環と周。周の縁談が決まり二人は離れ離れに……。 ――70年代編 病気で余命わずかと知った環は、同じアパートに住む少年と出会い交流が始まる。 ――戦後編 復員兵の周は元上官の環と再会し、闇市で一緒に店を始めるが、環には秘密があった。 ――江戸時代編 周の夫を斬った相手は、幼馴染みの環だった。仇討ちのため再会したことから、二人の運命が変わり始める。
APPLE BOOKSのレビュー
『大奥』『きのう何食べた?』のよしながふみが、時代と性別を超えて出会い続ける2人の愛を描いた連作オムニバス。中学生の娘と女友達の恋に葛藤する母と、かつて同性のクラスメートが好きだった父。一組の夫婦の絆から始まる物語はやがて、明治時代、1970年代、戦後を経て江戸時代へとさかのぼる。家族、友情、恋など、さまざまな関係性で紡がれる愛がエピローグに結実し、すさまじい感動をもたらす意欲作。人間観察に基づき丁寧に描かれたドラマと、著者ならではの静かで穏やかな空気感が相まって、一つ一つの短編としての完成度も高い。愛の形はそれぞれだが、離れていてもつながる絆があれば、人はこんなにも強く生きていける。自由で希望に満ちた愛の讃歌だ。