男性性の探究
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4.3 • 3件の評価
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- ¥1,800
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発行者による作品情報
ひとりの男性として自分は何が語れるだろうか?
#MeToo運動をきっかけに覚えた、男性としての居心地の悪さ、動揺、そして目覚め。
フランスの哲学者・宗教社会者である著者が、男性支配の構造と、その解体を語る。
リオジエが問題視するのは、女性の身体に向けられる男性の視線である。歴史的・社会的・文化的に培われてきたこの眼差しが、女性を客体化(objectiver)し、もの(objet)として所有すること、資本として蓄積することを可能にしてきた。そのようにして男性優位の構造が形作られてきた。そこに問題の核心がある。(「訳者解説」より)
APPLE BOOKSのレビュー
#MeToo運動の問題点を、男性側の視点から解体する。ヨーロッパでも盛んな#MeToo運動は、男性からの反発のみならず、女性からも批判を浴びることがある。この#MeToo運動の理解を難しくしている(あるいは妨害している)要素を、5つの例を示しながら明確に指摘。また、避けて通れない関連事象として、性の意識の進歩を意図的に避けることで、問題の論理化を避けている構造を明らかにする。著者はフランスの哲学者で社会宗教学者。歴史的、文化的に培われてきた、男らしさというものの虚構や、強い女性に対する恐怖心などを指摘する。さらに、ジェンダーの中にも存在する違和感にも触れられており、うなずく点が多い。すべての男性が、著者のように当事者として自分を見つめ直すのは難しいかもしれない。しかし、ヨーロッパの話と切り捨てるのは、#MeToo問題を対岸の火事と受け流してしまう心理と同義である。本書は、日本を含めた世界中の男性が持つ固定観念が、#MeTooを生んだ根底にあることを教えてくれる。