白馬に乗れない王子 カッファレッリ家の祝祭 II
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私がここに来たのは彼のリハビリのため。
決してベッドで奉仕するためではない。
男性の患者だけは絶対に引き受けない──
理学療法士のリリーはそう心に誓ってきた。
過去の悲しい経験のせいで男性恐怖症になってしまったのだ。
だが経済的事情から、どうしても引き受けざるをえないことになる。
患者は大富豪一族の次男、ラウル・カッファレッリ。
事故で大怪我を負ったラウルは自暴自棄で古城に引きこもり、
他人をよせつけないのだという。
案の定、治療のために訪れたリリーにも侮辱的な言葉を投げ、
不遜な態度をみせるラウルだったが、なぜか追い返しはしなかった。
閉ざされていた彼の心に、かすかな変化が起きようとしていた……。