私生活
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- ¥540
発行者による作品情報
「都会生活の哀愁を、巧みに切りとってみせた」と高く評価された第90回直木賞受賞の短篇集である。この世の中、どこの誰にも一枚めくれば、あやしげな私生活があるものだ。人それぞれにおなじ悩みも濃くまた淡く……いささか暗い人生の哀歓と心理の機微を、登場人物それぞれの何気ない会話のうまさと洗練の筆で、さりげなくしかし奥深く捉えた名人芸。「つぎの急行」「たねなし」「丘の上の白い家」「ご利用」「六日の菊」など17の「私生活」を描く。
APPLE BOOKSのレビュー
第90回(1983年下半期)直木賞受賞作。激動のバブル経済に向かう1980年代の都会で暮らす人々を主人公に、誰しもが抱える小さな秘密と、そこから生まれるドラマを洒脱(しゃだつ)な筆致で鮮やかに切り取った短編小説集。大きな外国製の人形を息子として扱う女性が登場する「たねなし」、会社の金の横領を計画する社員の葛藤を描く「警戒水位」、自分だけの穴場を奪い合う釣り師が悲劇を招く「釣り場」、ある老紳士が作った愛人の驚くべき正体が明かされる「小夜子」など、本書に収録されている17の物語は、短いながらも読者に大きな余韻を残す名作ぞろいだ。自らを「瑣事(さじ)観察者」と称し、日常に存在するささいな出来事を独自の視点で捉えた作品群は、価値観が大きく変化した現代においてもまったく色あせない。放送作家やエッセイストとして多方面で活躍した作家、神吉拓郎。時代を超えて読み継がれるべき優れたストーリーテラーとしての魅力を、本作を通じてぜひ堪能してみよう。