



細雪
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4.5 • 2件の評価
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発行者による作品情報
時代は昭和初期。大阪船場の旧家を舞台に繰り広げられる、古い暖簾を誇る蒔岡家の四人姉妹、鶴子、幸子、雪子、妙子の人間模様。絢爛でありながら、崩壊しつつある関西上流社会の生活が、全編を船場言葉で語られる。
長女鶴子と次女幸子の最大の悩みは、結婚が遅れている三女雪子だった。鶴子と幸子は縁談に奔走するが、昔の格式にとらわれる雪子はなかなか首を縦に振らない。そんな中、四女の妙子が末娘の奔放さゆえに大問題を引き起こす……。
1943(昭和18)年に「中央公論」で連載が始まるが、「戦時にそぐわない」という軍部の意向で掲載差し止めとなる。それでも、執筆を続けた谷崎は1944(昭和19)年に私家版の上巻を発表。しかし、これも軍部により印刷・配布を禁止される。戦後もGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)の検閲を余儀なくされ、全巻が中央公論社より刊行されるのは、1949(昭和24)年になってのことだった。
この作品には、昨今では不適切として受け取られる可能性のある表現が含まれますが、当時の時代背景、表現およびオリジナリティを尊重し、そのままの形で作品を公開します。