細雪
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4.3 • 41件の評価
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発行者による作品情報
時代は昭和初期。大阪船場の旧家を舞台に繰り広げられる、古い暖簾を誇る蒔岡家の四人姉妹、鶴子、幸子、雪子、妙子の人間模様。絢爛でありながら、崩壊しつつある関西上流社会の生活が、全編を船場言葉で語られる。
長女鶴子と次女幸子の最大の悩みは、結婚が遅れている三女雪子だった。鶴子と幸子は縁談に奔走するが、昔の格式にとらわれる雪子はなかなか首を縦に振らない。そんな中、四女の妙子が末娘の奔放さゆえに大問題を引き起こす……。
1943(昭和18)年に「中央公論」で連載が始まるが、「戦時にそぐわない」という軍部の意向で掲載差し止めとなる。それでも、執筆を続けた谷崎は1944(昭和19)年に私家版の上巻を発表。しかし、これも軍部により印刷・配布を禁止される。戦後もGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)の検閲を余儀なくされ、全巻が中央公論社より刊行されるのは、1949(昭和24)年になってのことだった。
この作品には、昨今では不適切として受け取られる可能性のある表現が含まれますが、当時の時代背景、表現およびオリジナリティを尊重し、そのままの形で作品を公開します。
APPLE BOOKSのレビュー
日本を代表する文豪として知られる谷崎潤一郎の長編小説。1943年の連載開始直後に軍部による弾圧で掲載禁止となるものの、ひそかに執筆を続け、1948年に全3巻を完結させた。戦前の大阪の旧家を舞台に、性格の異なる4姉妹の人生をつづる。蒔岡家は大阪、船場で木綿問屋を営む豪商だったが、今は店も人手に渡り、衰退しつつある。本家は長女の鶴子が辰雄を婿養子に迎えて継ぎ、芦屋にある分家には次女の幸子が同じく婿養子となった夫の貞之助らと暮らしている。未婚の三女雪子と四女妙子は、辰雄と折り合いが悪く、芦屋の家に入り浸っていた。雪子は何度も見合いをするも内気すぎる性格が災いして結婚には至らない。一方、奔放な妙子は、かつて駆け落ちで新聞沙汰にまでなった奥畑と交際を続けているが、やがて写真家の板倉と恋に落ちる…。雪子の縁談と妙子の恋愛を軸に、中流上層階級の暮らしぶりを執拗(しつよう)なほど丹念に描く。古い大阪言葉の会話が小気味よく、昭和初期の風俗がありありと目に浮かぶ。時代の制約を受けた女性それぞれの生き方は、現代とは程遠いかもしれないが、そこには滅びゆく美の切なさがにじみ出ている。たびたび映像化され、近代文学の最高峰に挙げられる名著だ。