絶声
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2.5 • 2件の評価
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- ¥700
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発行者による作品情報
親父が死んでくれるまであと一時間半――。状況は何も変わらないのに生が死に変わり、巨額の遺産が手に入るその瞬間を大崎正好は待ち望んでいた。ところが突如、驚愕の知らせが。父のブログが更新されたのだ。「私はまだ生きている」……。それぞれに問題を抱えながら、遺産のために表向きは結束する兄妹たち。その思惑をよそに立て続けに本人にしか知り得ない真実が次々と明かされ、主人公を取り巻く状況は加速しながらめまぐるしく姿を変える。その声が導くのは真実か、破滅か――。驚愕のラスト&圧倒的リーダビリティの極上ミステリー!
APPLE BOOKSのレビュー
「闇に香る嘘」で第60回江戸川乱歩賞を受賞した下村敦史が仕掛ける遺産相続ミステリー「絶声」。昭和の大物相場師と呼ばれた父・堂島太平が膵臓がんで死を目前にして失踪したのは7年前。かつて家を追い出された後妻の息子・大崎正好は、前妻との異母兄姉である堂島貴彦、美智香と共に父の失踪宣告を待っていた。行方不明者の生死が7年以上明らかにならず、失踪が宣告されると法律上の死亡扱いとなり、3人には巨額の遺産が転がり込むからである。ところが7年が経つ直前、思わぬ事態が起きる。失踪の2か月前から停止していた父のブログが突然、更新されたのだ。父は生きているのか? 相続人たちの憤りをよそに、その後もブログは更新され続け、意外な事実を告げていく…。利己的な登場人物たちによる、シニカルな遺産相続合戦の攻防と、次の一手を繰り出し続けるスリリングなゲーム性に手に汗握る。そして巧緻を極めた大ネタと共に待ち受ける、ラストの予想もつかないサプライズ。エスプリの効いた洒脱な会話を主軸に展開する、フランスミステリーのような味わいを含んだ一作。