羅生門

APPLE BOOKSのレビュー

「今昔物語」などの古典作品を題材とした"王朝物"と呼ばれる初期短編の一つとして知られる、芥川龍之介の「羅生門」。東京帝国大学在学中の1915年に、雑誌「帝国文学」から発表された。舞台は平安時代、戦乱に荒れ果てた京の羅生門。雨宿りをしようと羅生門の上にある楼の中に入った身分の卑しい男が、一人の老婆と出会う。老婆は楼の中にあった死体から髪の毛を抜いていた。なぜそんなことをするのかを問いつめると老婆はその理由を話し始めた。夏目漱石に認められて華々しい文壇デビューを飾った、同じく王朝物の「鼻」と同時期に構想された作品。