羊殺しの巫女たち
-
-
4.7 • 3件の評価
-
-
- ¥2,000
-
- ¥2,000
発行者による作品情報
「十二年後、次の祭りの日に、ここでまた集まろうよ。みんなで」
山に囲まれた早蕨部村で12歳を迎える6人の少女たちは、未年にのみ行われる祭りの巫女に任命される。それは繁栄と災厄をもたらす「おひつじ様」を迎えるため、村の有力者たちが代々守ってきた慣習だった。祭りの日、彼女たちは慣習に隠された本当の意味を知る――。そして12年後、24歳になった彼女たちは、村の習わしを壊すというかつての約束を果たすため、村に集う。脈々と受け継がれた村の恐るべき慣習と、少女たちの運命が交錯する中、山で異様な死体が発見される。
あなたは、真実に気づくことができるか。衝撃のホラーミステリが幕を開ける!
APPLE BOOKSのレビュー
村の因習にあらがおうとする土俗的オカルトミステリー。予測不能の結末で話題となった『世界でいちばん透きとおった物語』の杉井光による注目作。林業で栄えた山深い過疎の村、早蕨部村。一部の権力者たちが村を支配し、江戸時代がいまだに続いているような封建的なこの村で少女時代を過ごした祥子は、12年ぶりに帰郷する。早蕨部村では12年に一度、未年に山から里に下りてきて豊穣をもたらす「おひつじ様」を祝うため、11月の一番遅い未の日に初穂祭りを行う。そこでは12歳になる年女が巫女となり、祝詞と舞、子どもだけの神事が執り行われていた。12年前、巫女を務めた祥子たち6人の同級生は、祭りに隠された驚愕(きょうがく)の事実を知り、とある行動を起こす。そしてその結果を確かめるため、12年後の祭りの日に再会する約束をしていたのだ。祭りの日に向け、続々と集まるかつての同級生たち。ところが代々受け継がれてきた因習に終止符を打とうとした彼女たちの奮闘むなしく、山で異様な死体が発見されてしまう。寂れた田舎の村、謎めいた神、少女、変死体といった、オカルト好きにはたまらない要素が盛りだくさん。けがれた大人たちや理不尽な境遇に翻弄(ほんろう)されながらも、ひたむきに戦う少女たちの姿が尊い。