



花の鎖
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4.0 • 69件の評価
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- ¥730
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発行者による作品情報
驚きのラストが胸を打つ、感動のミステリー。
両親を亡くし、愛する祖母もガンで入院中、さらに講師として働いていた英会話スクールが破綻し金銭的に困っている梨花。
建設会社で働いていたが、伯父夫婦のすすめで営業職の和弥と結婚した美雪。
公民館で水彩画教室の講師をしつつ、和菓子屋でバイトをしている紗月。
そして、3人の女性の人生に影を落とす謎の男・K――。
大ベストセラー「告白」でのデビューから進化し続ける作家・湊かなえが放つ、感動のミステリー。
中谷美紀、戸田恵梨香、松下奈緒でドラマ化もされ、話題を呼んだ傑作。
※この電子書籍は2011年3月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
APPLE BOOKSのレビュー
女性の生き様を、群像を、そして絆を繊細な心理描写とともに描き続ける作家、湊かなえ。本作『花の鎖』も、彼女のライフワークとも呼ぶべき女たちの物語だ。主人公は、古い商店街のある田舎町で暮らしている3人の女性。「花」「雪」「月」をそれぞれの名前に含む彼女たちの物語は各章に分けられ、途中まで独立したストーリーテリングが進んでいく。しかし、3人の人生はふとした記憶によって重なり、すれ違い、不穏な運命を予感させていくことになる。そして彼女たちの運命に、さらに大きな影響を与える人物“K”。Kは善なのか? それとも悪なのか? サスペンスをはらんだ謎が謎を呼び、人間関係と時系列が交錯しながら広がっていく本作の全体像を、一読しただけで完璧に把握するのは難しいかもしれない。しかしだからこそ、女たちに絡みつく“鎖”が少しずつ解きほぐされていく後半のカタルシスは格別。そうして結末までたどり着いた後に、ぜひ再読をおすすめしたい。作者が言葉の裏にさりげなく秘めてきた主人公たちの思いが鮮烈に浮かび上がり、より深い感動を味わえる。