花は咲く、修羅の如く 1

APPLE BOOKSのレビュー

小さな島の放送部を舞台に、朗読に情熱を注ぐ高校生たちを描いた青春ドラマ。人口600人の十鳴島で暮らす春山花奈はある日、同世代の子役、西園寺修羅の朗読を観たのがきっかけで、その世界に魅了された。数年後、子どもたちに朗読会を開いていた花奈の前に薄頼瑞希が現れ、彼女が部長を務める放送部に入部することになる。『響け！ユーフォニアム』の武田綾乃が原作を担当し、2025年にアニメ化された話題作。ふんわりとやさしい作画の中に、まさに“修羅”のような激しい情景描写が交錯する群像劇だ。人気音楽小説を手掛けてきた武田の表現力は、題材を「声」に変えても揺るぎなく、読み方一つで観客の心を揺さぶる朗読の奥深さに圧倒されるはず。コンクールという舞台を目指す花奈の成長にも注目したい。