花を追え 仕立屋・琥珀と着物の迷宮
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4.4 • 5件の評価
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- ¥880
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発行者による作品情報
【第6回アガサ・クリスティー賞優秀賞受賞作】仙台の夏の夕暮れ。篠笛教室に通う着物が苦手な女子高生・八重はふとしたことから着流し姿の美青年・宝紀琥珀と出会った。そして仕立屋という職業柄か着物にやたらと詳しい琥珀とともに、着物にまつわる様々な謎に挑むことに。ドロボウになる祝い着や、端切れのシュシュの呪い、そして幻の古裂「辻が花」……やがて浮かぶ琥珀の過去と、徐々に近づく二人の距離は果たして――?
APPLE BOOKSのレビュー
着物をはじめ、伝統的な日本文化に精通した春坂咲月のデビュー作である推理小説「花を追え 仕立屋・琥珀と着物の迷宮」。篠笛教室に通う八重は、純和風な趣味を持ちながらも、過去のトラウマから着物に苦手意識を持つ女子高生。仕立屋の美青年・琥珀と出会い、着物に関わる事件に巻き込まれるうちに、以前八重の身に起きた、古い和布"辻が花"を巡る事件が明るみになっていく。豊穣や長寿といった吉祥を表す草花の和柄に隠された意味や、和装時に身につける下着の呼び名などがミステリーの要素として使われ、着物の面白さや歴史を学びながら謎解きできるのが本作の魅力。移り変わる季節ごとの草木や豊かな彩りに満ちた花々など、徹底して和の世界観が表現された雅やかで瑞々しい描写に引き込まれる。"辻が花"の事件の解明と絡んで、近づいたり離れたりしながら展開していく八重と琥珀の淡い恋の行方にも注目してほしい。