荒地の家族
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- ¥1,900
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発行者による作品情報
元の生活に戻りたいと人が言う時の「元」とはいつの時点か――。40歳の植木職人・坂井祐治は、あの災厄の二年後に妻を病気で喪い、仕事道具もさらわれ苦しい日々を過ごす。地元の友人も、くすぶった境遇には変わりない。誰もが何かを失い、元の生活には決して戻らない。仙台在住の書店員作家が描く、止むことのない渇きと痛み。
APPLE BOOKSのレビュー
第168回(2022年下半期)芥川賞受賞作 - 震災後の宮城を舞台に、植木職人の男の苦悩とかすかな希望を朴訥(ぼくとつ)とした筆致で描いた『荒地の家族』。40歳の植木職人、坂井祐治は、厄災から2年後にインフルエンザで妻の晴海を亡くし、小学生の息子、啓太と母、和子と共に暮らしている。日々、目の前を通りすぎる景色の中で祐治の胸によみがえるのは、大地が上下左右に轟音(ごうおん)をとどろかせて動き、海が怪物のように膨張し、人々の日常を、暮らしを、命を根こそぎ持っていってしまったあの日。少しずつ再生している街の中に残る、この世とあの世の境界線を横目に、過去のさまざまな記憶が巡りめぐる。祐治の周りの人々もまた、心に空虚感や諦念を抱き生きている。「元の生活に戻りたいと人が言う時の『元』とはいつの時点か」、祐治の心のつぶやきが読み手の胸に深く刺さって抜けない。被災地の再生を描く物語はあるが、この作品は違う。人は本当に多くのものをなくすと、希望を持って前を向くことも進むこともできないのだと思う。そこにずっととどまりながら、それでも日々は続いていく。祐治はただ生きるために、そして息子のためだけに明日を生きていくのだろう。
カスタマーレビュー
ばっMED
、
退屈…
起承転結の起のまま話がずるずる進んで終わったように思う。
芥川?賞はいったいどんな基準で選ばれるのやら。