虎とバット―――阪神タイガースの社会人類学
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発行者による作品情報
なぜ我々は、“ダメ虎”でも愛してしまうのか? イェール大学教授が社会人類学的見地からその謎を解読する!長年のフィールドワークにより実を結んだ、『菊とバット』以来の本格的プロ野球社会論。
APPLE BOOKSのレビュー
"ダメ虎"と揶揄されてもなぜ阪神は愛され続けているのか? 日本の野球界で唯一無二の存在感を放つ阪神タイガースについて、イェール大学の教授が1990年代半ばからフィールドワークを重ね、文化人類学・民俗学の見地から分析した書籍。原著は2018年出版の「The Sportsworld of the Hanshin Tigers」で、アメリカの野球ファン向けに日本の野球文化やその歴史、メジャーリーグとの比較を交えつつ、阪神の独自性を研究者の視点でまとめている。特に、選手や監督・コーチからフロントや親会社、地元メディアやファン、そして甲子園という空間が一体になって作り出す"スポーツワールド"を舞台に、膨大な数のキャストの密な交流を通じて描かれる日本特有の組織論と、大阪ならではの地域意識に対する考察はとてもユニークだ。アメリカで生まれた野球が日本独自の発展を遂げ普及したことを、スポーツの専門家ではないアメリカ人の学者が論考する本書は、阪神の特殊性だけでなく、日本の野球や社会について、日本人にとっては当たり前で見逃しがちなさまざまな事象に、改めて気付くための視点を与えてくれる。