虫籠のカガステル(1)【特典ペーパー付き】
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4.1 • 28件の評価
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発行者による作品情報
人が巨大な虫になる奇病[カガステル]が発症。虫(カガステル)は理性を失い、人を襲い、繁殖し続ける。人類が虫(カガステル)の“駆除”を認めたのは、人口の三分二が喰い殺された後だった――。“駆除屋”として生きる少年・キドウは、“虫籠”で死にかけた男を発見。男は娘を託し息を引き取る。残された娘・イリは、父が死んだ哀しみでその場を動こうとしない。キドウはそんな少女の頬を叩き、言い放つ。「生きる気がないならここで死ね」――それが二人の出会い。【特典ペーパー付き】
APPLE BOOKSのレビュー
少年誌を中心に活躍を続ける橋本花鳥の出世作「虫籠のカガステル(1)」。人間を凶暴な巨大昆虫へと変える不治の病カガステルが蔓延する架空の未来を舞台に、虫の駆除を続ける青年キドウと、彼に命を救われた少女イリが力強く生き抜く姿を描く。恐ろしいモンスターとそれに対抗する人間のストーリーを、勧善懲悪のバトル漫画ではなく、キャラクターたちの内面を繊細な筆致で表現したヒューマンドラマに仕立て上げているのが本作の魅力。かつて人間だった虫を倒すことへの苦悩や、父に先立たれたイリの故郷への想い、目の前の人間が虫なのではという妄想に囚われる人々など、それぞれの心理を浮き彫りにすることで、リアルな物語に仕立てた。シリアスなシーンが多い作品だが、主人公とイリが下宿先の食堂のイメージアップに奮闘するハートフルなエピソードも盛り込まれ、和ませる。本作は、2013年まで橋本が自身のウェブサイトで発表していた作品を大幅に加筆修正したもの。約8年という歳月をかけて練り上げた独特の世界観と重厚なストーリーを楽しんでほしい。