



蝶のいた庭
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4.6 • 7件の評価
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- ¥1,300
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発行者による作品情報
FBI特別捜査官のヴィクターは、若い女性の事情聴取に取りかかった。彼女は〈庭師〉と呼ばれる男に拉致された10名以上の女性とともに警察に保護された。滝や小川があり、蝶が飛びかう楽園のような〈ガーデン〉――完全防音で随所に監視カメラが設置され、外界から隔離された秘密の温室に、彼女たちはコレクションとして軟禁されていたのだ。女性の口からじわじわと明かされていく事件の全貌に、恐ろしい犯罪に慣れているはずの捜査官たちが戦慄する。おぞましくも美しいこの地獄でいったい何が起きたのか。一気読み必至、究極のサスペンス!
APPLE BOOKSのレビュー
ミステリー作家ドット・ハチソンによる長編サスペンス「蝶のいた庭」。ある男に軟禁されていた10代の女性が警察に保護され、取調室でFBI捜査官のヴィクター・ハノヴェリアンと向かい合う。マヤと呼ばれていた彼女の口から、10人以上の女性が囚われ、背中に蝶の入れ墨をされて暮らしていたおぞましいガーデンの全貌が語られていく。事の成り行きを淡々と話していたマヤが、次第に深い心の内側まで吐露していくようになる過程の描き方は絶妙。ここで年頃の娘が3人いるというヴィクターのキャラクター設定が生きてくる。彼女の話はあちこちへ飛ぶが、話すことを迷う気持ちを表現しつつ、なかなか真実を明らかにしない展開が、読み手の興味を引っ張ることに成功している。物語が進むにつれ、軟禁していた男の人間的な破綻が顕著になり、女性たちの葛藤や諦めが胸に迫ると同時に、いつどのように抜け出す道が開けるのかとクライマックスへ向けた期待感が増す。マヤをはじめとする女性たちの家庭事情も浮き彫りにされ、家族や人との絆などの問題も考えさせる秀作。