



赤い猫
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3.6 • 16件の評価
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- ¥430
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発行者による作品情報
車椅子に坐ったままの富豪の老婆の家に、住み込みで雇われていた沼手多佳子は、老婆の死後、その全財産を遺贈された。幼い時母を殺された多佳子にとって、それは夢のようなことだったが……という日本推理作家協会賞授賞の名作「赤い猫」のほか、「白い部屋」「青い香炉」など、明るく生き生きとした6編の珠玉の傑作ミステリー小説集。車椅子の老婆から贈られた、莫大な遺産に秘められた秘密とは?
APPLE BOOKSのレビュー
日本における探偵小説の先駆者、江戸川乱歩から「アガサ・クリスティを思わせる」と激励された推理作家、仁木悦子によるミステリー短編集『赤い猫』。ある老婦人の家に住み込みの話し相手として雇われた若い女性が、老婦人との会話を通じて幼年期に起きた殺人事件の真相にたどりつく表題作「赤い猫」。暴風雨で山奥の民宿に閉じ込められた7人の男女が暇つぶしに始めた会話から、近隣の街で起きた殺人事件の真相が明るみに出る「青い香炉」。白い着物を着た女が子どもをさらうという怪談話が引き起した事件に巻き込まれた主婦を描く「子をとろ 子とろ」など、6篇を収録。偶然、事件のうわさを耳にした第三者が謎を解くという筋立てが多いが、全編を通じ明快で爽やかな仕上がりになっている。推理好きの兄妹、仁木雄太郎と悦子(作者と同姓同名)で知られる代表作『仁木兄妹の探偵簿』の雄太郎がさり気なく登場したり、結婚して名字が浅田に変わった悦子が活躍したりと、仁木兄妹シリーズの入門編としても楽しめる一冊。