追憶の鑑定人
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5.0 • 1件の評価
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- ¥2,200
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発行者による作品情報
科学を信じることは、人を信じることじゃないかな?
元科捜研トップの鑑定技術力と知識から「彼に鑑定できない証拠物はない」と称された土門誠。民間鑑定人となった土門のもとに、大学教授の猪狩愛が訪れる。彼女は土門の過去を知る数少ない友人のひとりだが、研究中に起きた大学内での火事で記憶を失ってしまう。そればかりか放火の疑いをかけられ……。旧友を信じたい思いと、科学的事実の間で揺れる土門が導き出した答えとは?
孤高の鑑定人が真実を暴くサイエンスミステリシリーズ最新作、ついにドラマ化!
APPLE BOOKSのレビュー
孤高の鑑定人、土門誠が難事件の真相を暴いていく科学捜査ミステリー。『最後の鑑定人』『科捜研の砦』に続く人気シリーズの第3弾で、四つのエピソードからなる連作短編集だ。相田弁護士は、元夫の寺井を殺害した水原佳南絵の弁護を引き受けることになり、土門の鑑定所を訪ねた。かつて科捜研で働いていた土門は、あらゆる分野に及ぶ知識と技術を持つ優秀な人物。気難しく無愛想だが、相田が何度も世話になってきた民間の科学鑑定人だ。佳南絵の筋の通った自供により起訴は免れない。しかし、裁判員に減刑を訴えるため、寺井のストーキング行為を立証してもらいたいというのが相田の依頼だった。現場に残された痕跡からさまざまな調査を行った土門は、相田が想像もしなかったある仮説を語り…(「交感原理」)。理学部教授の猪狩愛ら、土門の大学時代の同期生たちが今作で初めて登場し、知られざる土門の過去が少しずつ明らかになる。能面のように無表情で冷徹な土門だが、友人たちの視点で語られる彼の姿から、その人となりが見えてくる。ミステリーの醍醐味を味わうとともに、ヒューマンドラマの温かみが感じられる物語だ。