過去と思索(三)
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ニコライ一世治下のロシアはその帝政史上,言論統制の最も厳しい時代だったが,皮肉にも,思想の世界には稀に見る豊穣な果実をもたらした.「西欧主義」と「スラヴ主義」という二大潮流が生まれたのである.流刑先から戻ったゲルツェンは,両者の間で繰り広げられた激しい論争で,主役の一人であった.(全七冊)