銀盤のトレース
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5.0 • 1件の評価
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発行者による作品情報
名古屋でフィギュアスケートに打ち込む小6の竹中朱里。だが、レッスン費用がかさむスケートを辞めさせたい両親に「バッジテストで5級に受かるか、県大会で3位以内に入らない場合はクラブを辞める」という条件を出される。バッジテストに落ち、県大会でも大きなミスをし、絶体絶命の朱里に、スケート連盟からある提案がなされて……。氷上の妖精にあこがれ、熾烈な競争をくぐり抜けていく少女たちの日々を活写。緻密な取材に基づき、フィギュア王国・愛知県を舞台に描いた<リアルなフィギュアスケート小説>!
APPLE BOOKSのレビュー
碧野圭の「銀盤のトレース」。働く女性にスポットを当てた作品で人気の著者が、多方面にわたる取材を重ね、フィギュアスケート界で羽ばたこうとする少女を描いている。主人公の朱里は小学6年生でスケート歴は2年。フィギュアスケート王国ともいえる名古屋市に引っ越し、幼い頃から練習を始めている地元の子たちとの差に戸惑いながらも友人と競い合い、自分自身とも闘い、高みを目指していく。競技を続けるための経済的な負担や周囲の支援、学業との両立など、スケーターの少年少女やその家族、コーチらの行動や言葉の現実感に、取材の成果がにじむ。毎日の練習や、級を決めるバッジテスト、大会の様子などの描写が子細で、舞台裏をのぞくような楽しみもある。好きだから続けたい、もっとうまくなりたいという朱里の強い思いと、さまざまな壁に立ち向かいたくましく成長していく姿に、胸が高鳴る。未来に向けて突き進む、若き鼓動を感じさせる秀作。