銭形平次捕物控傑作‪集‬

(銭形平次捕物控について)


銭形平次捕物控は、野村胡堂のかいた時代小説、探偵小説です。広くテレビドラマ、演劇、映画などに取り上げられ、非常によく知られた時代小説となっています。

神田明神下に住む岡っ引の平次(通称銭形平次)が、子分の八五郎(通称ガラッ八)と共に卓越した推理力と寛永通宝による「投げ銭」を駆使し、事件を鮮やかに解決していくという構成となっています。岡本奇堂の「半七捕物帳」と共に最も有名な捕物帳であり、代表的な時代劇作品の一つでもあります。

原作の最初の頃は江戸時代の寛永期を舞台にしていましたが、第三十話から文化文政期に移っています。

平次は架空の人物ですが、小説の設定から神田明神境内に銭形平次の碑が建立されており、銭形平次の顔出し看板も設置されています。


(野村胡堂について)


野村胡堂は、一八八二年に岩手県に生まれました。盛岡中学校に進みますが、同窓には言語学者の金田一京助がいました。また下級生に石川啄木がいて、胡堂は啄木に俳句・短歌の手ほどきをしたと伝えられています。その後第一高等学校を経て東京帝国大学法科大学に入学しますが、学資が続かず退学します。報知新聞を発行する報知社に入社して、主に「あらえびす」の名でレコード評論などを執筆しました。一九三一年、文芸春秋発行の「文芸春秋オール読物号」創刊号に捕物帳の執筆を依頼され、銭形平次を主人公にした「金色の処女」を発表し、これが「銭形平次捕物控」の記念すべき第一作となります。これ以降、第二次大戦を挟んで一九五七年までの二十六年間、長編・短編あわせて三百八十三編を書きました。


(この本について)


この「銭形平次捕物控傑作集」には、青空文庫より以下の作品が以下の順で四十六篇収録されています。

すべて、新漢字、新かなに修正してありますので、かなり読みやすくなっていると思います。


第一話金色の処女

第二話振袖源太

第三話大盗懴悔

第四話呪いの銀簪

第六話復讐鬼の姿

第九話人肌地蔵

第十話七人の花嫁

第十一話南蛮秘法箋

第十三話美女を洗い出す

第十四話たぬき囃子

第十六話人魚の死

第二四話平次女難

第二五話兵粮丸秘聞

第二七話幻の民五郎

第二八話嘆きの菩薩

第三十話くるひ咲

第三四話謎の鍵穴

第三五話傀儡名臣

第四三話オランダカルタ

第四七話どんど焼

第五一話迷子札

第五四話麝香の匂い

第五六話地獄から来た男

第五七話死の矢文

第五九話酒屋火事

第六二話城の絵図面

第六五話結納の行方

第六六話玉の与の呪

第七三話黒い巾着

第七五話巾着切の娘

第七六話竹光の殺人

第七七話八五郎の恋

第七八話十手の道

第七九話十七の娘

第八〇話捕物仁義

第八二話お局お六

第九〇話禁制の賦

第九一話笑い茸

第九七話許婚の死

第九八話紅筆願文

第九九話お篠姉妹

第一〇〇話ガラッ八祝言

第一一三話北冥の魚

第一二一話土への愛著

第一五七話娘の役目

第三一四話美少年国