降り積もれ孤独な死よ(1‪)‬

APPLE BOOKSのレビュー

罪深き“業”に翻弄（ほんろう）される人々を描く、戦慄（せんりつ）のノワールサスペンス。舞台は、丘の上にひっそりとたたずむ一軒の屋敷。空き巣の通報を受け訪れた刑事、冴木仁によって、13人の子どもを巻き込んだ衝撃の事件が明るみに出た。虐待された過去を持つ冴木は、犯人と目される灰川十三の闇に挑むことを決意する。『親愛なる僕へ殺意をこめて』の作者コンビが手掛ける注目作。冒頭から漂う不穏な空気はもちろん、飄々（ひょうひょう）としたたたずまいの奥に傷を抱えた冴木が魅力的で、瞬く間に心をつかまれる。リアルかつ端正な作画も相まって、灰川の“娘”を自称する花音が灰川を回想するシーンなどは詩的で美しい。“父”と呼ばれる男は殺人者なのか、救済者なのか。深まる謎に、先を読まずにいられなくなるはず。