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家族の絆と愛という普遍的なテーマを描いた山本周五郎の代表作の一つ。
葛西家の養女、汝生(なお)は、「嫁ぐことのできない理由があり、身の処置に窮したため死を選ぶ」と遺書をしたため出奔する。
兄の兵庫と弟の又三郎は妹の探索に乗り出すが、杳として行方は知れず、思案のあげく、汝生が死んだ証にするため、遺品に見立てた品々を持ち帰り、事を納めるのだった。
その数年後、汝生は生きていて、葛西家の元家臣で公金横領で逃亡した動木喜兵衛と暮らしているという情報がもたらされる。
又三郎は急ぎ二人が住むという駿河へと向かうのだが、そこで見たものとは……。
『講談倶楽部』(大日本雄辯會講談社)の昭和27(1952)年9月号に掲載。
この作品には、昨今では不適切として受け取られる可能性のある表現が含まれますが、当時の時代背景、表現およびオリジナリティを尊重し、そのままの形で作品を公開します。