雫
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- ¥1,800
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発行者による作品情報
今日が、雨でよかった――時を超え、かたちを変えて巡る、“つながり”と再生の物語。
ビルの取り壊しに伴うリフォームジュエリー会社の廃業を起点に時間をさかのぼりながら、物から物へ、人から人へと、30年の月日のなかで巡る想いと“つながり”、そして新たなはじまりを描く、寺地はるな(2023年本屋大賞9位)の真骨頂が光る、感動長篇。
出会い、卒業、就職、結婚、親子、別れ……。中学の卒業制作づくりで出会った4人がそれぞれ直面する数々の選択と、その先にある転機、人生のままならなさ。不器用に、でもひたむきに向き合う彼らの姿を通して、日常のささいな不安や違和感を丁寧にすくい取って人の弱さにそっと寄り添いながら、いまを生きるあなたにエールを贈る大人の青春小説。
【内容】
2025年 4月
2020年 2月
2015年 12月
2010年 7月
2005年 4月
2000年 8月
1995年 9月
2025年 10月
APPLE BOOKSのレビュー
中学の同級生4人が30年の時を重ねた絆を優しいまなざしで描く『雫』。物語は2025年4月から始まる。リフォームジュエリーサロン「ジュエリータカミネ」で働いていたデザイナーの永瀬珠は、ビルの取り壊しとともに会社を畳むという決定の後にも次の仕事を決められずにいた。会社の代表取締役を務める高峰能見もまた、離婚や体調不良続きで元気がない。同じビルのテナントの一つだった会社で働いていた森侑、地金加工の工房で職人として働いていた後に離島へ移住した木下しずく。中学3年生の時に卒業制作で同じ班になったタイプの違う4人は、付かず離れず、けれども互いを思いながら温かい関係が続いていた。結婚や仕事、親子関係、さまざまな人との関わりの中で揺れ動く彼らの心の機微を、永瀬珠の視点から八つの時を切り取ってつづる物語。その中で見えてくるつながりの尊さ。読み終わるころ、この小説に出てくるさまざまなモチーフとしての「雫」に込められた意味に気付く時、心の奥深くに雫が落ち、深い余韻を残すだろう。