零號琴
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- ¥2,400
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発行者による作品情報
特種楽器技芸士のトロムボノクと相棒シェリュバンは惑星〈美縟〉に赴く。そこでは首都全体に配置された古の巨大楽器〈美玉鐘〉の五百年越しの竣工を記念し、全住民参加の假面劇が演じられようとしていた。上演の夜、秘曲〈零號琴〉が暴露する美縟の真実とは? 『グラン・ヴァカンス』以来、16年ぶりの第2長篇
APPLE BOOKSのレビュー
日本を代表する現代SF作家、飛浩隆の16年ぶりとなる長編SF小説「零號琴」。宇宙進出が盛んになった近未来を舞台に、生物のような楽器や、人造侍童の亞童、人心を読む梦卑といった生物など、奇想に満ちたキャラクターが登場し、摩訶不思議な物語が繰り広げられていく。美縟(びじょく)という星で発見された特種楽器"美玉鐘(びぎょくしょう)"。その星で秘曲"零號琴"が近々演奏されると富豪の老人パウルから聞かされた主人公トロムボノクは、特種楽器技芸士として惑星に向かう。そこでは、予想だにしないトラブルが待ち受けていた。パウルがなぜ美玉鐘に固執するのか、美縟の住人に感じる違和感は何なのか。惑星に隠された驚くべき歴史に加え、主人公の過去までもが零號琴によって明かされ、ストーリーは壮大なスケールで展開していく。生命の死というシリアスなテーマ性を持ちながら、著者の優れた感性や想像力によって独自の世界観が生み出されている。ベテラン作家の巧みな筆致により、最後の最後まで目が離せない。