霧の駅で、君を待っていた
ありがとう、さよなら、そして
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発行者による作品情報
『汽笛の聞こえる夜に』の青年サイドの物語。
新卒で入社した会社で、期待と不安を胸に働き始めた青年。
しかし失恋と仕事の挫折が重なり、やがて出勤できなくなる。
退職し、実家に戻った彼を待っていたのは、孤独と自己否定の日々だった。
そんなある夜、彼は夢の中のような「駅」に辿り着く。
そこは、現実と夢のあいだにある不思議な場所――“空の駅”。
誰も語らず、誰も責めない。時折訪れる列車に乗れば、現実に戻れるのか、それとも……。
淡々と去っていく人々の中で、彼は立ち止まり続けていた。
やがて、その駅に現れたひとりの女性との出会いが、彼の心を少しずつ変えていく。
――立ち止まることは、間違いではない。
けれど、いつかまた歩き出す日が来る。
「ありがとう、さよなら。」
そう告げて旅立つとき、青年は何を見つけたのか。