



青春とは、
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4.0 • 1件の評価
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- ¥1,500
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発行者による作品情報
コロナ禍のさなか、家でひきこもっていた女性が
棚のなかから見つけた古い名簿と本。
「今からすればーー」
記憶の扉が開き、昭和50年代に共学の公立高校で過ごした思い出が、
まるで映画を見ているかのようによみがえる。
『ラブアタック!』、ミッシェル・ポルナレフ、旺文社のラジオ講座、
そして夜の公衆電話からかけた電話……
胸キュンな恋も、打ち込んだ部活も、
そのうえスマホもなかった。でも確かにあれは――
大人のための、フツウな青春小説。
APPLE BOOKSのレビュー
直木賞受賞作家、姫野カオルコによる昭和50年代の高校生たちを回顧した青春物語。定年退職をし、シェアハウスに住む主人公の乾明子(いぬいめいこ)。新型コロナウイルスの発生によって、時間を持て余していたある日、部屋の掃除中に見つけた名簿と1冊の本。そこから45年前の高校時代の思い出が鮮やかによみがえる。滋賀県立虎水(とらみず)高校に在籍していた明子は、自信の持てない地味な容姿や性格から“暗子”と男子たちから呼ばれるも、男女問わず友人たちがそれなりにいた普通の女子高生。彼女のどこにでもある、ありふれた高校生活には、キラキラした恋愛も汗と涙の部活もなかったけれど、それでもその何もかもが青春の日々で、 “これから”の喜びが詰まった、もう二度と戻ってくることのない時期だったのだ。作者の得意とする昭和のネタ(当時のテレビ番組、音楽、出来事、文化、流行)をふんだんに織り交ぜることで、時代性を色濃く映し出しながら、携帯電話もSNSもなかったころの高校生たちの姿をありありと浮かび上がらせる。確かにそこに存在した彼女の青春は、主人公と同じ世代の読者にとっては懐かしく感じられ、若い世代にとっては目新しく映るだろう。