革命前夜
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- ¥950
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発行者による作品情報
この国の人間関係は二つしかない。密告しないか、するか──。
第18回大藪春彦賞受賞作! 革命と音楽が紡ぎだす歴史エンターテイメント
バブル期の日本を離れ、ピアノに打ち込むために東ドイツのドレスデンに留学した眞山柊史。
留学先の音楽大学には、個性豊かな才能たちが溢れていた。
中でも学内の誰もが認める二人の天才が──
正確な解釈でどんな難曲でもやすやすと手なづける、イェンツ・シュトライヒ。
奔放な演奏で、圧倒的な個性を見せつけるヴェンツェル・ラカトシュ。
ヴェンツェルに見込まれ、学内の演奏会で彼の伴奏をすることになった眞山は、気まぐれで激しい気性をもつ彼に引きずり回されながらも、彼の音に魅せられていく。
その一方で、自分の音を求めてあがく眞山は、ある日、教会で啓示のようなバッハに出会う。
演奏者は、美貌のオルガン奏者・クリスタ。
彼女は、国家保安省(シュタージ)の監視対象者だった……。
冷戦下の東ドイツで、眞山は音楽に真摯に向き合いながらも、クリスタの存在を通じて、革命に巻き込まれていく。
ベルリンの壁崩壊直前の冷戦下の東ドイツを舞台に一人の音楽家の成長を描いた歴史エンターテイメント。
圧巻の音楽描写も大きな魅力!
本作を彩る音楽は……ラフマニノフ 絵画的練習曲『音の絵』バッハ『平均律クラヴィーア曲集』第1巻 『マタイ受難曲』リスト『前奏曲(レ・プレリュード)』
ラインベルガー オルガンソナタ11番第2楽章カンティレーナ ショパン スケルツォ3番 ブロッホ『バール・シェム』より第2番「ニーグン」 フォーレ『エレジー』 ……etc.
解説・朝井リョウ
APPLE BOOKSのレビュー
ベルリンの壁崩壊直前の東ドイツを舞台に、一人の若き演奏家の成長を描いた歴史エンターテインメント作品。ピアニストを目指す眞山柊史が留学したドレスデンの大学には、北朝鮮からの留学生の李やベトナム人のスレイニェットなど個性豊かな才能があふれていた。中でも傑出した存在が、唯一無二の個性と奔放な創造力の天才ラカトシュ・ヴェンツェルと、論理的アプローチと正確無比な演奏力の秀才イェンツ・シュトライヒ。誰もが認める2人との出会いと交流を通じて、眞山は時に悩み、自問自答しながら、自分の音を探し求める。そんな中、美貌のオルガン奏者、クリスタの演奏に啓示を受けるが、彼女との出会いをきっかけに、民主化運動が激化する時代の流れにのみ込まれていく…。若者たちのみずみずしい青春音楽小説でありながら、中盤以降は革命前夜のダイナミズムがストーリーをけん引する。スパイ小説さながらの展開に引き込まれ、秘密警察に加担する密告者たちの暗躍もサスペンス効果を高めている。バッハの「平均律クラヴィーア」他、全編を彩るクラシック音楽の演奏を見事に言語化した筆力も素晴らしい。
カスタマーレビュー
革命前夜
久しぶりに本が読みたくて、でも何がいいかわからず、本屋さんでジャケ買いしました。
大当たりでした!後半につれ、読む勢いが止まらなくなりました。
DDRのこと、素晴らしいドイツの音楽、ベルリンの壁崩壊直前の混沌とした社会の状況、音楽にかける青春、密告されるかもしれない恐怖…ごっちゃになって押し寄せてきて、読んだ後はしばらく脳が興奮状態でした。
すごかったです。他の作品も読みます。