飛天の風 六男坊と陰陽師
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- ¥650
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発行者による作品情報
藤原家の六男坊と天才陰陽師が紡ぐ平安物語。
時は平安、太政大臣の六男坊・藤原有視は、夜道で陰陽寮の学生・安倍春秋とぶつかり、春秋は追っていた男を逃がしてしまう。
口論になった二人だが、そのために「密かの賊」と呼ばれる盗賊団の盗みの現場を目撃することとなり、行きがかり上、事件に関わる羽目になってしまった。
だが、手がかりは殺された屋敷の主が言い残した「かね」という言葉だけ。
盗賊団の行方はなかなかつかめないまま日々が過ぎていった。
そんな時、有視は幼なじみの小色と再会する。小色のことを気にかける有視だったが、彼女は、なぜか有視を避け続ける。
一方、有視の身に迫る危機を感じ取った春秋は、自分の式神を有視に分け与えようとするが…!?
初めて目にする式神の存在、初恋の少女との再会、そして事件の真相――。
のんびり六男坊と天才陰陽生が紡ぐ、平安陰陽師物語!
※この作品は底本と同じクオリティのイラストが収録されています。
APPLE BOOKSのレビュー
中国の宮廷を舞台にしたファンタジー小説「舞姫恋風伝」でデビューした作家、深山くのえ。本作の舞台は平安時代の日本。主人公・藤原有視(ふじわらのありみ)は、朝廷の最高官職である太政大臣の六男で18歳。身の丈六尺の偉丈夫だが、頼まれると断れないお人好し。有視のよき相棒となる同い年の安倍春秋(あべのはるあき)は、占いや天文、暦の作成を司る陰陽寮で学ぶ学生だが、整った容貌の持ち主で天才的な力を持っている。2人は殺人事件の現場を目撃したことから、事件解決に駆り出される。舞台を平安時代にしたことで、太政大臣の息子を素人探偵に、相棒には若手天才陰陽師という絶妙な設定が可能となり、異色の探偵小説を作り上げた。ストーリー展開は王道の捕物帳である一方、春秋が操る式神の活躍や、有視の恋心などが巧みに伏線として盛り込まれており、緻密な構成力を感じさせる。平安絵巻をひも解くような華麗な場面が折り込まれ、想像力を駆り立てられるうちに、一気にのめり込んでしまう痛快な作品。