鬼の蔵 よろず建物因縁帳
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Publisher Description
盆に隠れ鬼をしてはいけない――。それが山深い寒村に佇む旧家・蒼具家の掟。広告代理店勤務の高沢春菜は移築工事の下見ため訪れた屋敷の蔵で、人間の血液で「鬼」という文字が大書された土戸を発見する。調査の過程で明らかになるのは、一族で頻発する不審死。春菜を襲いはじめた災厄を祓うため、春奈は「因縁切り」を専門とする曳家・仙龍に「鬼の蔵」の調査を依頼する。
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あかさたなはまやらわあたまかなやさはら
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郷愁と人の醜さと強さ
都会に生まれ育った私でも微かに覚えのある祖母の顔や田舎の景色を思い起こしてしまう気持ちは郷愁というのでしょうか。怨みつらみは醜いけれど誰かを恨むにはそれ相応の哀しい理由があって、誰かを守ろうとする強い気持ちに心惹かれて、感情が揺さぶられます。魅力的な登場人物たちと引き込まれる話の展開に気がつくとエピローグを読んでいました。オカルト的な要素が強いのですが、結局は人の心のなせるワザと思い知らされ、読み終わったあと清々しい気分になります。