



魔法を描くひと
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- ¥2,200
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発行者による作品情報
「私の人生の主は私。何ものにも、簡単に委ねてやるもんか」
20世紀初頭にアメリカで創業し、世界中から愛されるアニメーション会社となったスタジオ・ウォレス社。1937年、レベッカは類稀な画力でウォレス社に入社を認められたものの男性ばかりの社内で実力を評価されない日々が続く。それでも仲間と協力し作品創りに励むが、第2次大戦の影が忍び寄ってくる……。
時を隔てた現在、ウォレス日本支社で働く契約社員の真琴は、偶然見つけたデザイン画から、素晴らしい才能を持ちながら歴史から忘れ去られた「彼女」たちの人生を知る――。
APPLE BOOKSのレビュー
誰もが知る、あの世界的アニメスタジオに実在した、女性アニメーターたちをモデルに描かれたエンパワーメントお仕事小説。ウォレス日本支社で契約社員として働く真琴は、日本におけるウォレス展のため、過去の作品から女性の関心を引きそうな作品ものを探す作業を任せられていた。膨大なデータベースの中から偶然見つけたのは、夢見るたおやかなプリンセスの画風で知られるスタジオ・ウォレスらしからぬ、強い意志を秘めた瞳を持つ少女たちの絵。その作品に心を引かれた真琴は「M・S・HERSEA」というサインを手がかりに、それまで知られていなかったウォレスの女性アーティストたちの存在を知る。物語は現代を生きる真琴の視点と20世紀アメリカのスタジオ、ウォレスで働くレベッカの視点で進んでいく。女であるというだけで働く権利を認められず、女であるから無能だというフィルターと闘ったレベッカ。そして契約社員であるからと正社員に成果を奪われ、雑用を押し付けられ、常に解雇の不安にさらされながら働く真琴。ここに描かれているのは社会がもたらす差別と分断に苦しむ女性たちの姿だ。時に心折れながらも、その先に光を見出し立ち上がる彼女たちの姿に勇気をもらえるだろう。