17歳の塔(1‪)‬

APPLE BOOKSのレビュー

中高一貫の女子校を舞台に、17歳という限られた瞬間を切り取り、ヒエラルキーの“塔”でもがく少女たちの青春群青劇。藤沢もやしのデビュー作であり、応募作から連載となった人気作品だ。ヒエラルキーのトップに君臨していた容姿端麗の生徒と地味だった底辺の生徒の逆転劇や、自分の立ち位置のために仲良くなる友人をヒエラルキーから選んでしまう人間模様、3人グループの難しい関係性などが描かれる。見る人によれば些細とも思える日常の出来事は17歳の彼女たちにとっては死ぬほど大ごとなのだ。少女たちの人間関係を軸に、思春期ならではのコンプレックスや承認欲求など、複雑な心の内に潜む葛藤や闇、日々の諍（いさか）いをリアルに描く。狭い教室から出れば世界は広いが、それを知らない彼女たちだけの世界は恐ろしく残酷だ。